アンナプルナベースキャンプ⇒マチャプチャレベースキャンプ(MBC)⇒チョムロン 8日目
2014年の目覚めは寒さで起きた。 あまりにも寒いのでペットボトルの水を見てみたら全部氷になっている。 Oh… これは危うく死ぬ寒さ。とりあえず、ケンさんを起こしてご来光を見に行くがマチャプチャレ(6997m)側から日が上がるので全然登ってこない。
待つ事約1時間。ようやく少しずつではあるがアンナプルナⅠ(8091m)に日が差してきた。 目の前に広がる8000m級の山は4000mの高さから見ても富士山1つ分以上の高さがあり、その姿は壁を思わせた。
ABCが少しずつ明るくなってくる。
しばらくすると、マチャプチャレ山頂を流れる雲が少しずつ明るくなってきた。
振り返るとアンナプルナⅠが朝日に照らされるが、神々の頂を隠すように雲がしっかりと覆っている。 これは、前日クリシュナさんがエロい話をしたからに違いない。うん。絶対そうだ。
さらに時間が進むと朱みがなくなり白き姿の山となった。 巨大な山脈と小さな人間。 グレイシャードーム(7193m)、シングチュリ(6499m)、テントピーク(5663m)と一望できる。
日が完全に登りきる前に出発。 今日はABC(4130m)から一気にチョムロン(2170m)まで1960m下る。 標高で言えば1960mだけど沢があるのでそれ以上。距離にして20km以上歩く。
最後にアンナプルナベースキャンプとアンナプルナサウスを振り返る。 また来るよ。 今度はアンナプルナⅠを見にね。
バタバタバタバタ…… ABCまでヘリコプターが飛んでる。 次回はヘリで……ってことはなしで、ちゃんと歩いてこよう。
何度か雪に足を取られながらMBCへ向けて歩いて行く。 アンナプルナⅠの山頂以外は雲がなかったので気持ちよい天気。 やっとの思いで到着した目的地から離れてしまうのは名残惜しく何度もABCを振り返りながらゆっくりと下って行った。
MBCで見るマチャプチャレ。 こんなに近くで見るのもこれで見納め。
雪が降ったことにより、行きと帰りでは違う風景が広がっていた。 夜の寒さで固まった氷が、日光に照らされて溶け、所々で小さな雪崩が起きている。 風と氷砕、足音だけの世界がしばらく続いた。
この高さと距離まで荷物を運ぶポーター。 いったいどのくらいの時間をかけてここまでくるのだろうか。
太陽に照らされた雪が解け、岩肌を削りながら勢いよく流れていく。 「ヒマラヤの天然水」として売ったらどうだろうか?
お気に入りのヒマラヤホテルのピザでランチにすることにした。 ボリューム・味ともにOK。 他のトレッカーからの評判もいいようだ。
山が深いところでは人工的な橋を造っていないので、大きな石や木で仮の橋を造っているところが多い。
歩き出して6時間後。 ABCから16キロ地点のシヌワ。 少しずつ日が傾き、影が長くなってきた。 先を急がねば。
日が沈むほんの少し前。 シヌワからチョムロンまで600m下って400m上るというの地獄の階段を上り終え何とか到着。 ケンさんは1時間前に着いていたようで迷惑をかけてしまった。
チョムロンからABC、MBCを望む景色。 今朝まであの山の麓までいたと思うとなんだか少し切なくなる。
手には棒、足は棒になりながら部屋へ到着。 とりあえず、シャワーを……っと、よく考えてみると4日ぶりのシャワーだ! しかも蛇口をひねると熱いお湯が出る! もう体を洗ったら汚いのなんの。 汗でシャワーの水がしょっぱかった。 「人間ってこんなに汚くなれるもんですな」と思いながら体中の汚れを落とす。 4日間シャワーを浴びなかったのは高山病予防の為でもあるけど、よく考えたら氷点下の中でシャワー浴びるバカはいないよな…… 高山病とは違う症状で死んじゃうでしょ。
シャワーを浴び終えて食堂でウダウダしていたらエロヒーローのクリシュナさん登場。 夕食を済ませた後はビールを飲みながらクリシュナさんのエロトークで夜は更けていった。(今頃ABCは大雪だなw)
チョムロン⇒ジヌー⇒ガンドルン⇒キリュー⇒ナヤプル 9日目
ABCでクリシュナさんに「帰りはオーストラリアキャンプに寄って行くといいよ。 アンナプルナ連峰を染める朝日が凄い綺麗だよ」って教えてもらい予定を立てるも、チョムロンで1週間ぶりに「Wi-Fi」を使ったら町(文明)が恋しくなって今日中にポカラまで帰ることにした。
チョムロンから温泉があるジヌーまで長い石段を下りて行きモディコーラ川に沿って進んでいく。
ガンドルン(1940m)あたりまで下りてくると棚田ではない田園風景が目に飛び込んでくる。 もうだいぶ下ってきた。
山の上の方ではあまり見かけなかった子供たちの姿も見え始める。 親が畑仕事に出かけ兄弟で下の子の面倒を見る。 これが「普通」なんだろうな。
お、去年もこの子の写真を撮ったなと思って、またカメラを向けた。 1年で顔立ちがずいぶんと大人になるもんだ。
「ヒマラヤは山だけじゃない」と思わせてくれる子供の笑顔。 山に生きる人々の表情もヒマラヤトレッキング最大の見どころだと思ってる。
キリューからはバスやチャータージーブでポカラまで帰れるが、「絶対にナヤプルまで歩きたい」とワガママをケンさんに聞いてもらい、砂埃が舞う道をつき進んだ。 リキューからナヤプルまで8キロほどある。 歩いたら辛い。 辛いんだけど、旅を思い出した時にこの辛さが楽しさに変わるのを知っている。
川に沿って平坦な道を歩き続ける事1時間半。 ようやくビレタンティに到着! ぐるーーとアンナプルナの内側を回ってきたことになる。 なんだろうこの達成感。 サンセットを見に行ったプーンヒル。 降雪の中上ったアンナプルナベースキャンプに近いものがある。 少し感傷的になり物思いに耽りながらナヤプルまで30分ほど歩いた。
ふと、後ろを振り返るとはるか遠くにマチャプチャレの姿が見える。「もうこんなに遠くまで来てしまったよ。ありがとう!」と呟きながらまた来る事を誓った。
そこには山があり、人々の暮らしがあり、星が降る。 冬の寒さで人々の優しさを知り、懐の深さを知る。すべては山の人々によって良い思い出が作られる。 果てしなく続く石段を上っているときは「もう絶対に来ない! バカヤロー!」と思うけど、すぐまた来たくなっちゃうんだよな。
ダンニャワード、ネパール。 また来させてもらうよ。
2014年1月1日~1月2日
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