6日目 高地に広がるチベット族の世界
シャングリラ
標高3276m。雲南省の北西端にあるデチェンチベット族自治州の中心地。チベットではカム地方南部に当る。チベット 語でギャルタンと称され、チベット文化圏の南東端にあたり、北は徳欽(ジョル)、南は麗江を連絡する滇蔵公路における要衝となっている。また獰猛な性格で 知られるチベット犬の産地でもある。
以前は中甸県という名称だったが2001年12月17日にジェームズ・ヒルトンの小説『失われた地平線』の中で描かれているユートピア(理想郷)シャングリラを採用しシャングリラ県に改名された。
Wiki
朝食をいつもより多く取りシャングリラの市内観光へと出かける。 自転車を借りて観光地へと行く予定だが宿のすぐそばに独克宗古城があるので先に観に行くことにした。
独克宗古城のある大亀山公園を囲った民家や商店は2014年の火事でその多くを焼失してしまったが寺院は難を逃れた。 朝から地元の人々が参拝に訪れる。
さらに階段を上がるとチベット式建築様式と中国式を複合した寺院が現れる。1724年に建てられた歴史ある寺院。中は写真撮影禁止。チベット様式の巨大な仏像が安置されていた。
敷地内は日向ぼっこする犬の姿も。 かわゆい。
先に進むとタルチョ越しに独克宗古城からの風景が目の前に広がる。
チベットのタルチョ。 色合いが美しい。
月光城を中心にくるっと回ると巨大なマニ車が飛び込んでくる。 トーガとマークの3人で回してみたが…… 回らず…… たぶん5人くらいいないと回らないんじゃないかな。
ふと目に飛んできたタルチョを結ぶ地元の人。 人々の信仰が神を支え、神が人々を支えている。 ここの生活には信仰が大きく根付いている。
月光城の前にある月光広場には2つの博物館があった。1つはデチェン・チベット自治州博物館。もう1つは紅軍長征博物館。 デチェン・チベット博物館を見て回ろうとしたら「南京大虐殺展」を特別開催していた。 まあ色々と言いたいことがあるが中国側からの発言を見てみる良い機会なので覗いてみることに。
遭難者30万人……らしいです。 当時の南京には何人住んでいたのかな?
写真も100枚ほど結構展示してあった。 ドイツ人のトーガが「マジか?」と聞いていたので「自分でネットで調べたほうがいいよ」と教えておいた。
向かいにある紅軍長征博物館はシャングリラ遠征のことが書かれていたので意外と楽しめる。
続いて本日メイン観光地の松賛林寺へ行くため古城エリア内で自転車を借りる。 貸し自転車屋は数店舗あり。
途中自転車を漕いでいるとドミトリーで一緒だった中国人のジャオに会い一緒に松賛林寺に行くことにした。 標高3000mを越す高地でのサイクリングはかなりキツく5分漕いだだけでも息が上がる。 北へ5キロほど行くと松賛林寺エリアに到着した。 115元という法外に高い入場料を払いさらに自転車で進んで行く。
山肌に香格里拉(シャングリラ)の文字が書かれていた。
松賛林寺に向かう途中で「天葬台」いう案内が飛び込んできた。 ジャオに聞いてみると鳥葬のための丘らしい。折角なので見に行ってみることに。
鳥葬
葬儀、または死体の処理方法のひとつ。
チベット仏教にて行われるのが有名である。またパールスィーと呼ばれるインドのゾロアスター教徒も鳥葬を行う。国や地域によっては、法律などにより違法行為となる。日本では、鳥葬の習慣はないが、もし行った場合刑法190条の死体損壊罪に抵触する恐れがある。
チベットの鳥葬はムスタンの数百年後に始まったと考えられ、現在も続いている。
Wiki
少し小高い丘を登って行く。
すると木が切り落とされた開けた場所に穴が掘ってあった。 ここで鳥葬を行うらしい。 他には木でやぐらを組んで鳥葬を行う場合もあるらしく丘の麓にやぐらが組んであった。
日中だったためか恐ろしいという雰囲気はなく死が生活に溶け込んでいるように感じられた。 そのため、近くの松林では燃料用に松ぼっくりを拾う子供たちの姿も。
戻り道で松賛林寺をみると素晴らしい景色が飛び込んできた。 景観に溶け込んだ姿がなんとも美しく自然と調和した寺院。
松賛林寺(ソンツェリン寺)
ソンツェリン寺は雲南省デチェン・チベット族自治州シャングリラ市にあるゲルク派の寺院。 1680年にダライ・ラマ5世によって創建。 現在、500人程度の僧侶がおり、活仏であるポンド・リンポチェも健在である。中国語では帰化寺ともいう。
Wiki
さらに入り口まで近づくと袈裟に身を包んだチベット僧侶の姿が目につくようになった。
正面入り口に立つと左右対称でないのに気がつい 雲南のポラタ宮と言われるチベットスタイルの寺院。
寺院内は僧坊が多くあり多くのチベット僧の姿が目につく。
見所は巨大な仏像が安置されているツォンカパ宮殿くらいかな……
メインとなるのツォンカパ宮殿の中にはチベットスタイルの巨大な仏像が安置され僧侶たちが百人近く座れる席が用意されていた。 朝夕のお祈りの時間に流れる音楽と祈りはチベット寺独特のもので見たことがない方は必見。 宮殿内は写真撮影禁止なので自身で体感してもらいたい。
日向ぼっこする僧の姿。 寺院が建設された頃からのゆっくりとした時間が流れていた。
ツォンカパ宮殿から見る景色は圧感で凍った池の奥に天葬台が見える。 市街地より少し離れた丘に囲まれた場所なので幻想的な景色が広がる。
松賛林寺を出た後はナパ海へ向けて出発。 松賛林寺から近道があるという話で行ってみたが道は舗装されていない……
しばらく走ると草原越しに松賛林寺が見えてきた。
小高い丘を越え長い長い下り坂を2キロほど下る。 冷たい風が頬にあたり気持ちいい。 しかし帰り道のことを考えるとちょっと吐き気がする。
下った先の何もない道に突如ナパ海の看板が現れる。 漢字の読めないトーガとマークはそのままスルーしてかなり遠くまで行ってしまったが必死こいて戻って来た。
看板からさらに10分ほど未舗装の道を走ると到着! しかし入場料がクッソ高い! 確か100元近くしたような気がした。 「4人で入るからまけて」と交渉するとすぐにOKが出た。 (こやつチケットくれなかったし確実に自分の懐に入れるな)
そして、敷地に入ると…… 大草原!これは草不回避!
ナパ海
シャングリラの北西に位置する三方を山に囲まれた緑豊かな草原。 春から夏にかけて雨量が増えると山から流れた水が湿原になり緑一面に覆われる。シャングリラ最大の牧草地。
地球の歩き方
夏は湿地帯になるナパ海も冬になると乾燥した草原に変わる。 ただ一部小川になって水が流れているのでそこら辺を豚や牛や馬が走り回る。 なんというか草食動物のサファリパークやね。 もしかしたらここが桃源郷と言われる由来なのかも。
しかし見事に糞だらけなので要注意。 まあ乾燥してるから踏んでも特にダメージはないけども。
シャングリラ観光の見所だけあって自然派にはかなりいい光景だと思います。 できればテントを持ってきてキャンプをしたくなるような牧草地で夜になると星が綺麗なんだろうなと思った。
しかし、しかしだ! ナパ海のトイレはまさに地獄絵図。 トイレに行きたいと入ったトーガとマークが泣きながら出てきたほど。 私もその後を追ったが33年の人生の中で一番汚いトイレだった。 どのように汚かったのかというと小は仕切板がなく荒れ放題、大はニーハオトイレで流してないピーが丸見え。 さらにピーの上にピーが乗っかって鏡餅のような状態。まだ乾燥した季節だからいいものも雨季であれば煉獄と化す!
ナパ海あらためピー海だわこれ!
最後にトイレでどっと疲れて草原を後にした。
「小僧、ナパ海の真の恐怖を分かったかな? ふぉふぉふぉ」と言いそうなおじさん。
親父さん草原はフンは仕方ないにせよ。 トイレの掃除をしてください。(切実)
帰りは下ってきた坂、約2キロを立ち漕ぎ(標高3276m)して帰った。 空気の薄い中であの立ち漕ぎは生涯忘れることはないだろう。 市内からタクシーをチャーターしていけるので少しお金に余裕のある人はタクシーで行った方がよいと思う。
タクシーを利用すればメインとなるシャングリラ観光を1日で終わらせることもできるし、自然を楽しむ観光地に行きたいという人なら2日もあれば十分だろう。 まさか桃源郷で汗だくになって息をハアハア言わせることになるとは全く思ってなかったわ!
2014年12月30日
コメントを残す